活動情報

既存建築物の大規模改修を円滑化
国土交通省

date:2012/09/01

国土交通省は、既存不適格建築物に関して、既存部分の2分の1を超える大規模な増改築を可能とする特例措置等の内容を含む建築基準法施行令及び関連省令、告示の改正について、パブリックコメントの募集を行い、規制の緩和による増改築の促進を図る方針。9月にも閣議決定した上で施行する予定です。

この度の改正は、現行の耐震基準への適合が困難で、増改築が進まない既存不適格建築物に対して、増改築部分を現行の基準に適合させた上で、既存部分については、一定の安全性を確保すれば既存不適格建築物として存続できるように法制度を見直すものです。これらについては、日本再生戦略(平成24年7月31日閣議決定)において提唱されています。

現行の制度では、増改築部分の床面積が延べ面積の2分の1以下等の場合は、構造耐力の適用を受けないとしていますが、改正案では、既存部分の2分の1を超える大規模増改築については、新たな特例措置を講じて、基準法構造耐力規定が適用されない既存不適格建築物の増改築範囲を見直す考えです。

平成17年の建築基準法改正で、既存不適格建築物の増改築に関する基準が緩和され、下記の条件を満たせば現行規定に適合させなくてもクリアできる例外措置が認められました。@増築部分の面積が既存部分の延べ面積の2分の1以下、Aエキスパンションジョイントで接続している等、増築部分が既存部分と構造上分離している、B耐震改修促進法の基準による耐震診断で安全性が確認できる。

平成21年には、国土交通省は前述の例外措置の範囲を更に拡大し、昭和56年の新耐震基準に適合している建築物は、@とAを満たしていれば、Bの耐震基準による安全性の確認を不要とする改正を実施しました。

既存不適格建築物の増改築を行う際に、増築部分の面積が既存部分の2分の1を超える場合、既存部分を現行基準に適合させなければならず、実際の増築では、既存部の2分の1を超え、建て替えや別棟にすることを余儀なくされる事例が多く発生していました。

ストック活用の現場では、既存不適格建築物の増改築を行う際に適用される「2分の1ルール」については、従来から再考を求める声が各方面から上がっていました。特に、製造業からの要望が大きく、市場動向に合わせて工場の生産ラインを変更したいにも関わらず、機動的に対応できないとの要請に応えたもので、一定の安全性が確保されている既存建築物の大規模な増改築を一層促進し、国際競争力の強化につなげる方針です。

建築基準法施行令及び関連省令・告示の改正案(概要)

T 建築基準法施行令の改正について

(1) 容積率規制に係る延べ面積の算定方法の合理化について
建築物に次の@の部分を設ける場合、延べ面積に、それぞれ次のAに掲げる割合を乗じて得た面積を限度として、容積率制限における延べ面積に算入しないこととする。

<@算入とする建築物の部分>
<A不算入の上限>
・ 防災用備蓄倉庫の用途に供する部分
50分の1
・ 蓄電池を設ける部分
50分の1
・ 自宗発電設備を設ける部分
100分の1
・ 貯水槽を設ける部分
100分の1

(2) 既存不適格建築物に係る規制の合理化について
建築基準法第20条の規定の適用を受けない既存不適格建築物に係る増築または改築の範囲を定めている第137条の2について、以下の内容を定める新たな号を追加することとする。

@ 増改築後の建築物の構造方法が次のいずれにも適合するものであること。
・ 
令第3章第8節に適合すること。
・ 
増改築に係る部分が、令第3章第1節〜第7節の2、第129条の2の4及び法第40条に基づく条例に適合すること
・ 
既存部分が、耐久性等関係規定に適合し、かつ、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃による当該建築物の倒壊及び崩落並びに屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁の脱落のおそれがないものとして国土交通大臣が定める基準に適合すること。

A 増改築部分が既存部分とエキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接し、かつ、増改築後の建築物の構造方法が次のいずれにも適合するものであること。
・ 
増改築部分が、令第3章、第129条の2の4及び法第40条の規定に基づく条例に適合すること。
・ 
既存部分が、耐久性等関係規定に適合し、かつ、自重、(略)帳壁の脱落のおそれがないものとして国土交通大臣が定める基準に適合すること。

U 建築基準法施行規則等の改正について

(1)建築基準法施行規則の改正について
(2)都市再生特別措置法施行規則の改正について
(3)津波防災地域づくりに関する法律施行規則の改正について

V 建築物の倒壊及び崩落並びに屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁の脱落のおそれがない建築物の構造方法に関する基準並びに建築物の基礎の補強に関する基準を定める件の改正について
(1) 既存部分が適合しなければならない基準として、T(2)@の「自重、(略)帳壁の脱落のおそれがないものとして国土交通大臣が定める基準」を以下のとおり定めることとする。
・ 
建築設備について令第129条の2の4第1号及び第3号並びに令第129条の2の5第1項第2号及び第3号の規定に適合すること。
・ 
屋根ふき材等について昭和46年建設省告示第109号に定める基準に適 合すること。

(2) 既存部分が適合しなければならない基準として、T(2)Aの「自重、(略)帳壁の脱落のおそれがないものとして国土交通大臣が定める基準」を以下のとおり定めることとする。
・ 
建築基準法第20条第2号イ後段及び第3号イ後段に規定する構造計算によって構造耐力上安全であることを確かめること又は平成18年国土交通省告示第185号に定める基準によって地震に対して安全な構造であることを確かめること。
・ 
地震時を除き、令第82条第1号から第3号までに定めるところによる構造計算によって構造耐力上安全であることを確かめること。<一部省略>

 

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