活動情報

中国北京市総工会訪日団来訪

date:2012/03/27

中国北京市総工会訪日団来訪 2012.03.27北京市総工会労働保護部の路東明副部長を団長とする中国北京市総工会訪日団が、平成24年3月27日(火)より5日間の予定で来日し、27日は午前10時より厚生労働省において「日本の労使紛争処理について」研修を受けた後、午後1時30分より日本建設組合連合本部に馬場章年会長を表敬訪問し、併せて労働安全衛生の推進等についての組合活動に関する学習及び意見交換を行いました。当日は、椎屋副会長及び安部監事より加盟組合の立場から組合で実施する事業等の説明も併せて行いました。

北京市総工会は、全国連合組織である中華全国総工会の下部組織である労働団体であり、訪日の目的は「日本の建設業従事者の労働問題全般」に関して学習することで、一行は、北京市の総工会服務体系工作事務室の林建如副主任及び北京市の企業関係から陳曦北京隆達軽工控股有限責任公司工会副主席、馬秀清北京市順義大龍城郷建設開発総公司工会副主席、李軍北京六建集団有限責任公司工会主席と通訳から成る訪日団です。

日本建設組合連合を代表して、馬場会長より「日中両国は、かつては近くて遠い関係でしたが、現在では双方が主要な貿易相手国となり、日中両国の経済的相互依存関係は一層深化しつつあります。日中貿易は、1970年代末の改革・開放政策以降、中国経済の変化に対応しつつ、日本からの直接投資の拡大と中国のWTO加盟の実現により、日中間の貿易・投資関係が更に拡大しております。日中友好の基本は、広範な両国国民の相互理解と信頼が極めて重要であり、私どもは、経済面での相互関係と並行して、建設団体同士の相互理解と友好関係を推進して参りたいと考えております。これを機会に、皆様方と友好関係の発展を願っておりますので、今後とも宜しくお願いしたい。」との挨拶がありました。

訪日団一行は、建設連合を訪問した後、新幹線で大阪に移動し、大阪府庁住宅街づくり部建築振興課にて「建築業界の指導育成」に関して説明を受け、意見交換後に関西空港から帰国されました。

中国北京市総工会訪日団来訪 2012.03.27この度の北京市からの行政幹部及び建設業界等大手企業で構成された労働団体訪日団の主要な目的は、行政府である厚生労働省と大阪府庁及び建設業団体から、日本の建設業界における建設企業の発展と労働者の福利向上の調和、労働環境の向上と安全教育等を学ぶことで、建設連合本部事務局に来訪の打診がありました。

3月27日(火)午後に日本建設組合連合本部を訪問した北京市総工会訪日団を馬場章年会長と椎屋令子副会長、安部喜久監事及び事務局、(社)全国建設業労災互助会の保坂篤専務理事、(財)住宅保証機構の河村享一事業推進部長等関係者が友好的に出迎え、相互に自己紹介を行った後に早速ディスカッションに入りました。

今回の北京市総工会訪日団が、我が国の建設業団体の中から日本建設組合連合に対して建設業従事者の労働安全等の現状を学びたいとの要望に応えるべく、本部事務局においては準備段階で関係団体とも密接な連絡を重ね、「我が国の建設産業の特異性」、「労働災害の現状と安全対策」、「建設産業における消費者保護対策」の三つの観点から問題を整理し、訪日団に対する資料を作成した上で講授しました。

先ず、事務局から日本建設組合連合(建設連合)の概要説明を行いました。「建設労働者の生活及び権利を守り、社会保障制度の確立を実現するために、それまでの組織を改組して、1961年6月に『日本建設労働組合会議』が設立された。一方、建設産業に於ける中小零細業者の地位と立場を確立し、更に向上させるために全国各地の業者団体が集結し、全国組織の連合会として『日本建設産業協会』が1963年8月に結成された。その後数年を経て、元来労働者で組織された『日本建設労働組合会議』と業者団体で組織された『日本建設産業協会』が統合され、更に何れにも未加入であった業者組合を加えて、中小零細建設業者や一人親方、建設職人等の経済的、社会的地位と技術向上を目指し、全国的な運動を展開するための推進母体として、1968年11月12日に『日本建設組合連合』を設立した。爾来、組合員の福利厚生の改善向上のため、国民健康保険法(法律第192号)による公法人の『建設連合国民健康保険組合』の認可を受けて設立し、組合員世帯のより充実した老後の生活設計を図るものとして、国民年金法(法律141号)の改正に伴い、国民年金(基礎年金)の上乗せ年金として、『日本建築業国民年金基金』を設立した。」との沿革を説明。

次に、「我が国の建設産業の特異性」として、建設業界に於ける多層的階層構造について説明を行いました。「建設生産構造は、契約的な面から見ると上下関係からなる多層的階層構造(重層構造)であり、日本の建設産業に於いては、経営者側と組合側の話し合いや建設企業の発展と組合員の権利の調和といった観点よりも元請・下請・孫請けの関係の在り方により、下請が不利な取引きを強いられることの問題の比重が大きいと言えよう。

大手企業にあっては、労組の存在が、通常は所謂「御用組合」の場合が一般的であり、中小零細事業所の場合には、事業主=労働者であり、事業主と従業員の明確な区分は、その実態に於いて建設現場ではないに等しいという現状がある。

ゼネコン及び専門工事業者からなる建設生産構造は、上下関係からなる多層的階層構造(重層構造)であり、契約の上位者による優越的地位の利用の結果として、所謂「下請いじめ」や施工に於ける品質低下、不良不適格業者の介在、技能者の労働条件の悪化等の問題が指摘される。

即ち、大手企業がその立場を利用して、下請けである中小企業に不利な取引条件を押し付ける事例が後を絶たない。このような「下請けいじめ」は、下請取引適正化法で禁止されているが、実際には不利な取引条件として、代金支払いを渋る、極端な値引きを要求するといったケースが数多く報告されている。

近年、政府はこの「下請けいじめ」への取締りを強化し、その抑止策として、経済産業省は、相談窓口の「下請け駆け込み寺」を全国に設置しており、国土交通省でも、建設工事の契約を巡る元請けと下請け業者のトラブルに関する相談窓口として「建設業取引適正化センター」を設置している。また、厚生労働省では、労働基準監督機関が下請けいじめを公正取引委員会等に通報する制度を整えているが、根本的な解決には至っていないのが現状である。(以上、当日配布資料より一部抜粋)

次に、「労働災害の現状と安全対策」について、関連団体である(社)全国建設業労災互助会の保坂篤専務理事に講義をお願いしました。その概略は、労働福祉の向上と建設業の発展に寄与するための被災労働者に対する援護事業及び労災保険の目的と役割という観点から、「労災保険とは労働者災害補償保険法に基づき、労働者が仕事に関して被った怪我や病気を始め、それにより障害を持つに至った場合、或いは不幸にして死亡した場合に、被災者本人または遺族に対して必要な労災保険給付を行うもので、仕事に関して被った怪我や病気、或いは障害や死亡に対して、災害補償責任が労働基準法により事業主の責任とされており、労災保険はこの事業主の災害補償責任を事業主に代わって、労災保険という保険システムにより果たす役割を担っている制度の在り方と労災事故の現状。また、労災保険の対象は、労働基準法上の労働者であるが、そうではない者も仕事の状況や労働災害発生の可能性がある場合があり、これらの方々も広く労災保険制度の中で、労働者と同様に必要な労災保険給付を行うという特別加入制度の概要」について、我が国の労災保険制度の現況を語って頂きました。

(財)住宅保証機構の河村享一事業推進部長からは、「建設産業における消費者保護対策」という側面から住宅瑕疵担保責任(任意)保険やリフォーム保険の制度等について、瑕疵が発見された場合の対応策が準備されている日本の住宅政策と制度の現況等を報告して頂き、併せて活発な質疑応答及び意見交換を行いました。

訪日団からの「組合が労働災害防止対策としてどのような事業を行っているのか」との質問に対しては、加盟組合が実施する一人親方労災や労働保険事務組合への取組みを全国的に推進し、労働安全衛生講習会等の開催を通しての建設業従事者の労働安全に尽力しており、併せて各種作業主任者講習会の開催等により建設労働者の技能及び技術の向上を図っている現状を説明しました。

また、加盟組合の立場から、椎屋副会長が人間ドック補助やインフルエンザ予防接種への補助等を組合員向けの保健事業として実施しており、組合員世帯を対象とした各種健康教室等への取組み状況や安部監事からは、土木や建築等の建設業法で規定された施工管理技士の制度と国家資格取得に係る補助金の交付、建設業許可との関連等について説明して頂きました。

訪日団を代表して、北京市総工会の路団長より、「本日は、実に丁寧なご説明をした頂き、誠に有難うございます。日本建設組合連合がどのような活動を行っているのか理解し、有意義な交流が出来たことを大変嬉しく思っています。今度は、北京市の総工会にもお越し頂き、交流していきたいと考えております。」との謝意が述べられました。

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